クレアチニンは測定値、eGFRは推定値
腎臓には、血液をろ過して老廃物を尿へ排出する働きがあります。クレアチニンは筋肉で生じる老廃物で、血液検査の血清クレアチニン(Cr)から、腎臓のろ過する力を推定します。[2] [3]
| 項目 | 示していること | 読み方の注意 |
|---|---|---|
| クレアチニン(Cr) | 血液中のクレアチニンの濃度。一般に単位はmg/dL。 | 腎機能だけでなく、筋肉量などの影響も受ける。 |
| eGFR(推算糸球体濾過量) | 腎臓が血液をろ過する力を、クレアチニン・年齢・性別などから推定した値。 | 単位はmL/分/1.73m²。腎機能を直接測った値ではない。 |
糸球体(しきゅうたい)は腎臓の中にある、血液をろ過する部分です。「推算」は計算で推定するという意味です。eGFRの「1.73m²」は標準的な体表面積にそろえた表示で、パーセントの単位ではありません。同じ推算式では、クレアチニンが高くなるほどeGFRは低く計算されます。[1] [2]
結果票の「今回」の列で、CrとeGFRそれぞれの数値・単位・判定を確認してください。eGFRが記載されていない場合は、自己流で換算せず健診機関や医療機関に確認しましょう。
年齢や筋肉量が、eGFRの解釈に関わる
同じクレアチニンでも、eGFRは同じとは限らない
日本人の成人に用いるクレアチニンに基づく推算式には、年齢と性別も含まれます。そのため、別の人のCr値やeGFRだけを見て自分と比較することはできません。年齢は評価に必要な情報ですが、「年齢のせいだから確認しなくてよい」という意味ではありません。[1]
筋肉量が少ない場合・多い場合
筋肉量が少ない方ではCr値が低くなり、eGFRが実際の腎機能より高く推定されることがあります。逆に筋肉量が多い方では、eGFRが低く推定されることがあります。食事内容や運動もCr値に影響するため、「低いeGFR=必ず同じ程度の腎障害」と一対一に置き換えることはできません。[1] [2]
推定値の正確さに疑問がある場合、医師はシスタチンC(筋肉量の影響を受けにくい、別の血液検査の指標)などを使い、ほかの情報も合わせて判断します。追加検査が必要かどうかは医師に相談し、体格や運動習慣を理由に受診案内を取り消さないでください。[1]
eGFRだけでなく、尿検査も合わせて見る
eGFRは「ろ過する力」の推定に用いる一方、尿たんぱくや尿アルブミンは腎臓の障害を調べるための情報になります。アルブミンはたんぱく質の一種です。慢性腎臓病の評価では、原因・腎機能・尿たんぱくまたは尿アルブミンを組み合わせます。[1] [2]
eGFRが60以上でも、腎臓の病気を否定できるわけではありません。尿たんぱくなどの異常が持続している場合は、別途確認が必要です。反対に、尿たんぱくが陰性でも、eGFRの低下があれば腎機能の評価が必要です。血圧や糖尿病の有無、病歴なども一緒に相談します。[1] [3]
過去の結果は、日付と条件も並べて確認する
「前回から下がった」という変化は相談の材料になりますが、1回の増減だけで進行や改善を断定することはできません。厚生労働省の健診資料でも、経年変化を踏まえた対応が重視されています。[3]
- 日付と間隔:前年の健診か、数週間前の再検査か。
- 項目・単位・検査機関:CrとeGFRを取り違えていないか。推算式や測定方法が異ならないか。
- 尿検査と判定:尿たんぱくなどの結果、再検査や受診のコメントも一緒に確認する。
- 検査時の状況:体調、食事・運動の条件、体重や筋肉量の変化、服用薬の変更などを伝える。
Crが同じでも、推算式に年齢が含まれるため、eGFRが全く同じになるとは限りません。また、日本腎臓学会は腎機能の低下の速さも評価しています。変化が大きい場合や続けて低下している場合は、次の年の健診まで自己判断で待たず、複数回分の結果票を持って医療機関に相談してください。[1]
健診の受診勧奨と、CKDの診断条件は別
健診から医療機関につなぐための目安
受診勧奨とは、詳しい確認のため医療機関の受診を勧めることです。日本腎臓学会「CKD診療ガイド2024」は、健診施設からかかりつけ医へつなぐ目安を示しています。以下は、そのうちeGFRに関する基準を整理したものです。[1]
| 対象 | eGFRの目安 | 対応 |
|---|---|---|
| 成人 | 45mL/分/1.73m²未満 | かかりつけ医などへの受診を勧める。 |
| 40歳未満の成人 | 60mL/分/1.73m²未満 | かかりつけ医などへの受診を勧める。 |
尿たんぱく1+以上や、尿たんぱく±が2年連続の場合も、同学会は受診を勧めています。この表のeGFRだけで受診の要否を決めないでください。厚生労働省の特定健診の資料では、eGFR60未満を保健指導、45未満を受診勧奨の判定値としていますが、尿検査・年齢・持病などを合わせることが必要です。[1] [3]
これらは健診後の対応を考える目安で、すべての施設の判定区分を統一するものではありません。値がこの基準に当てはまらなくても、結果票に再検査・受診の案内がある場合は従ってください。
CKDは「持続する異常」を医師が確認する
CKD(慢性腎臓病)は、腎臓の構造や働きの異常が長く続く状態です。日本腎臓学会の2024年版ガイドでは、尿検査などで腎障害が明らかであること、またはGFRが60mL/分/1.73m²未満であることの、いずれかまたは両方が3カ月を超えて持続することを診断条件としています。実際には、過去の記録や再検査などを医師が確認します。[1]
健診の受診勧奨値、CKDの診断条件、治療の必要性はそれぞれ別の判断です。原因、尿検査、低下の速さ、年齢、ほかの病気などにより診療方針は異なります。この記事の数値だけで治療の開始・中止や、将来透析が必要かどうかを判断することはできません。[1]
結果票と過去の記録を持って、内科・かかりつけ医へ
まずは結果票に指定された相談先、かかりつけ医、または内科へ相談します。必要に応じて腎臓内科などの専門医へ紹介されます。健診から一般の医療機関への受診勧奨と、医師から腎臓専門医への紹介は別の段階です。日本腎臓学会は、専門医への紹介を尿検査・eGFR・年齢・低下の速さなどから判断することを示しています。[1]
- 今回と過去の結果票、再検査・受診案内を持参する。
- 治療中の病気、薬・市販薬・サプリメントの使用を伝える。
- 「尿検査を含めて再確認が必要か」「次の検査はいつか」「専門医への相談が必要か」を尋ねる。
- 症状がある場合はその内容と始まった時期を伝え、症状が強い場合や急に悪化した場合は、健診で指定された日まで待たず医療機関に相談する。
腎臓の病気は自覚症状に乏しいことがあります。「症状がないから」と受診を見送らず、結果票の案内を確認しましょう。検査値を変えるために水を大量に飲む、極端にたんぱく質を制限する、薬を中止するといった対応を自己判断で行わず、必要な生活上の注意を医師に確認してください。[3]
参考資料・出典
根拠資料は日本腎臓学会と厚生労働省の公開資料に限定しています。本文中の番号は以下の資料に対応します。資料確認日:2026年10月6日。医療者向け資料を、一般の成人が結果票を理解するために要約したもので、個別の診断・治療にそのまま当てはめるものではありません。
- 日本腎臓学会「CKD診療ガイド2024」。公式掲載の改訂PDFを確認。第1章「CKDの定義・診断・重症度分類」(本文p.6)、「腎機能の評価法 成人」(p.10–13)、「CKD患者をかかりつけ医、専門医に紹介するタイミング」(p.17–20)。成人の腎機能評価、筋肉量の影響、CKDの持続期間、健診の受診勧奨と専門医紹介の根拠。版・正誤表は学会の公式掲載一覧で確認できます。
- 日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」第1章(PDF)。1-2-1「腎機能の評価」、1-2-2「蛋白尿・アルブミン尿の評価」。クレアチニンの産生、年齢・性別・筋肉量・食事・運動と推算値の関係、尿検査を併用する理由の根拠。医療者向けの資料で、推算式は18歳以上を対象としています。
- 厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」第2編・健診(PDF)。「健診検査項目の健診判定値」「フィードバック文例集の利用上の留意事項」「尿蛋白及び血清クレアチニンに関するフィードバック文例集」。主に特定健診(40~74歳)の情報提供・保健指導に使う資料。eGFRの健診判定値、経年変化、尿検査との組み合わせ、自覚症状に乏しい場合の受診の説明を参照しています。
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この記事は健診結果の理解を助ける一般情報です。ケンシンAIの解析や記事は、医師による診断・治療・受診判断の代わりにはなりません。