LDL・HDL・中性脂肪・non-HDLは別の指標
- LDLコレステロール(LDL-C):LDLという粒子に含まれるコレステロール。高い値は動脈硬化性疾患のリスクと関連します。[1]
- HDLコレステロール(HDL-C):HDLという粒子に含まれるコレステロール。HDLは余分なコレステロールを回収する働きがあります。低い値はリスク評価の対象ですが、「善玉だから高ければ高いほど安全」とは限りません。[1]
- 中性脂肪(TG、トリグリセライド):エネルギー源となる脂質で、コレステロールとは別物です。血中の値は食事や採血までの時間の影響を受けます。体脂肪率を直接示す値ではありません。[1]
- non-HDLコレステロール(non-HDL-C):総コレステロール(TC)からHDL-Cを引いた値。LDLのコレステロールだけでなく、ほかの動脈硬化に関係する粒子のコレステロールも含みます。「LDLを別名で表示した値」でも「総コレステロールから中性脂肪を引いた値」でもありません。[1]
non-HDL-C = 総コレステロール(TC)- HDL-C。計算する場合は同じ採血回・同じ単位の値を使い、結果票に記載があればその値と項目名を確認してください。
1項目だけでなく、組み合わせと採血条件を見る
まず今回の採血日の列で4項目の数値・単位(通常mg/dL)・判定と医師のコメントを並べます。結果票にnon-HDL-Cがない場合もあり、その場合は「測定漏れ」だと決めつけず、総コレステロールの記載を確認してください。異なる日や単位の数値を混ぜて計算・比較しないでください。
例えばLDL-Cが高くHDL-Cも高い場合でも、HDL-Cの高さでLDL-Cの指摘が帳消しになるわけではありません。中性脂肪が高くHDL-Cが低い場合も、片方だけで判断せず、血糖・血圧、喫煙の有無や病歴などを合わせて、かかりつけ医または結果票で案内された医療機関の医師に相談しましょう。non-HDL-CはLDL以外の粒子も含むため、中性脂肪が高いときなどに併せて評価されます。ただし値の組み合わせだけで病名や薬の要否は決められません。[1] [2]
食事から採血までの時間を確認する理由
中性脂肪は食後に変動し、空腹時と随時では判定に用いる値が異なります。特定健診の通知では空腹時を絶食10時間以上とし、やむを得ず空腹時以外に採血する場合は食直後(食事開始から3.5時間未満)を除いて随時中性脂肪を用いるとしています。前回と今回で食事・飲酒や採血時刻が違えば、数値の変化だけで改善・悪化とは判断できません。[4] [1]
LDL-Cには直接測定と、総コレステロール・HDL-C・中性脂肪から計算する方法があります。代表的なFriedewald式は随時採血や中性脂肪400mg/dL以上では使えず、直接法やnon-HDL-Cなどを用いた評価が検討されます。ただし中性脂肪が著しく高い場合はnon-HDL-Cも評価に注意が必要です。値を自己流で補正せず、採血条件や測定方法が不明なら健診機関に確認しましょう。[1]
健診の判定値と診断基準、治療目標を混同しない
次の表は厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」の特定健診における保健指導判定値と受診勧奨判定値です。一般の成人すべてにそのまま適用する診断表ではなく、健診施設の結果票に記載された判定や案内を置き換えるものでもありません。HDL-Cの「―」はこの表に受診勧奨判定値が設定されていない意味で、低値を放置してよい意味ではありません。[3]
| 項目 | 保健指導判定値 | 受診勧奨判定値 |
|---|---|---|
| LDL-C | 120以上 | 140以上 |
| HDL-C | 40未満 | ― |
| 空腹時TG | 150以上 | 300以上 |
| 随時TG | 175以上 | 300以上 |
| non-HDL-C | 150以上 | 170以上 |
診断基準は、脂質異常症かどうかを判断するための目安です。日本動脈硬化学会の2022年版ガイドラインに基づくQ&Aでは、高LDL-C血症を140mg/dL以上、低HDL-C血症を40mg/dL未満、高TG血症を空腹時150mg/dL以上・随時175mg/dL以上、高non-HDL-C血症を170mg/dL以上とし、LDL-C 120~139mg/dLとnon-HDL-C 150~169mg/dLを境界域としています。健診の判定値は保健指導や受診を勧める目安、診断基準は脂質異常症かどうかを判断する目安です。同じ数値が使われることがあっても目的は異なり、検査条件やほかの病気も含めて医療機関の医師が評価します。[1] [2]
個別の治療目標は、健診の判定値や診断基準とは異なり、医師と相談しながら一人ひとりに合わせて決めます。これまでの心血管疾患、糖尿病などの病歴や他の危険因子、治療状況に応じて医師と決めます。健診の判定値に達していないことだけで安全とは言えず、判定値を超えたことだけで薬の開始・変更が決まるわけでもありません。治療中の方は担当医から示された目標を確認してください。[2]
結果票の案内を起点に、次にすることを確認
「要再検査」「要受診」がある場合は記載された時期・方法に従って相談しましょう。食後採血だったからといって指示を取り消さないでください。相談時には今回と過去の結果票、食事から採血までの時間、飲酒、服用中の薬や病歴を伝え、「再検査の条件」「4項目をどう併せて評価するか」「自分の管理目標」を尋ねるとよいでしょう。再検査前の絶食や服薬については、再検査を予約した健診機関または医療機関に事前に確認し、その指示に従ってください。
AIで読み取った結果も、元の結果票と照らして項目名、数値、単位、今回の列、判定を確認してください。AIの説明は医師の診断に代わりません。
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参考資料・出典
資料確認日:2026年10月6日。厚生労働省・専門学会の公開資料に基づく一般向けの説明です。版と対象を確認して記載しています。資料の更新時は各機関の公式情報をご確認ください。
- 日本動脈硬化学会「脂質異常症診療のQ&A」(2023年版診療ガイド関連資料)。Q3~Q12:HDL・LDL・non-HDLの特徴、計算法、TGの採血条件、境界域。
- 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」。脂質異常症診断基準と包括的リスク評価・管理目標。
- 厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」第2編・健診(PDF)。「健診検査項目の保健指導判定値及び受診勧奨判定値」表。特定健診における脂質各項目の判定値。
- 厚生労働省「令和6年度以降における特定健康診査及び特定保健指導の実施並びに健診実施機関等により作成された記録の取扱いについて」(2023年7月31日一部改正、PDF)。第一・2(4)血中脂質検査:空腹時・随時・食直後の条件。
この記事は健診結果の理解を助ける一般情報です。ケンシンAIの解析や記事は、医師による診断・治療・受診判断の代わりにはなりません。