1.上の血圧・下の血圧の意味

血圧は、血液が動脈の壁を押す圧力です。心臓は収縮と拡張を繰り返しているため、動脈の血圧も上がったり下がったりします。単位はmmHg(ミリメートル水銀柱)です。[1]

結果票の呼び方意味
上の血圧/最高血圧/収縮期血圧心臓が収縮して血液を送り出し、動脈の血圧が最も高くなったときの値。
下の血圧/最低血圧/拡張期血圧心臓が拡張し、動脈の血圧が最も低くなったときの値。

例えば「128/78 mmHg」と書かれていれば、一般的には収縮期血圧が128、拡張期血圧が78という意味です。結果票によって表示方法が異なるので、必ず項目名も一緒に確認してください。

2.どちらか片方が高い場合も確認する

高血圧の判断では、上と下が両方とも高い必要はありません。日本高血圧学会が作成した「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」では、診察室血圧の収縮期が140mmHg以上、または拡張期が90mmHg以上という基準が示されています。[3]

  • 例:145/78 mmHg — 上の値が診察室血圧の高血圧の基準に達しています。
  • 例:125/92 mmHg — 下の値が同じ基準に達しています。

いずれも説明用の例であり、この1回の値だけで診断が確定するわけではありません。繰り返しの測定や家庭血圧、ほかの病気などを踏まえ、医師が判断します。[1][3]

「上が低いから下は見なくてよい」「下が低いから上は問題ない」と考えず、両方の値と結果票の指示を確認しましょう。

3.健診の判定値と診断基準を分けて読む

血圧の数値は、何のための基準か、どこで測った値かによって読み方が変わります。次の表は、厚生労働省の特定健診の判定値と、日本高血圧学会の高血圧の基準を整理したものです。すべての健診施設で同じ判定記号が使われるわけではありません。[2][3]

基準の目的・場面収縮期(上)拡張期(下)読み方
特定健診の保健指導判定値130mmHg以上85mmHg以上生活習慣の見直しや保健指導を検討する判定値。血圧だけで特定保健指導の対象になるとは限りません。[2]
特定健診の受診勧奨判定値140mmHg以上90mmHg以上再検査や医療機関での管理の必要性を検討する判定値。[2]
診察室血圧での高血圧の基準140mmHg以上90mmHg以上収縮期または拡張期が該当。持続的な血圧上昇を確認して診断します。[1][3]
家庭血圧での高血圧の基準135mmHg以上85mmHg以上収縮期または拡張期が該当。適切な方法で繰り返し測った記録を医師に相談します。[3][4]

保健指導判定値未満だから、血圧への注意が不要という意味ではありません。日本高血圧学会の同ガイドラインでは、診察室血圧の「高値血圧」は収縮期130〜139mmHg、または拡張期80〜89mmHgで、特定健診の保健指導判定値とは拡張期の境界が異なります。数値の意味は、資料の目的と併せて確認しましょう。[2][3]

また、診断基準と治療中の目標血圧は別です。治療の目標や薬の調整は、体調や副作用なども踏まえて担当医と相談してください。[1][3]

4.測定条件で数値が変わることへの注意

血圧は固定された値ではなく、運動・安静・入浴・食事・睡眠・体調・精神的な緊張などで変動します。健診会場で高かった値を「緊張しただけ」と決めつけず、逆に1回の値だけで普段の血圧を断定しないことが大切です。[1]

  • 急いで会場に着いた、階段を上った直後だった、緊張が強かったなど、測定時の状況を確認する。
  • 姿勢や腕の締め付けに注意し、測定スタッフの案内や血圧計の説明書に従う。
  • 過去の健診と比較するときは、測定時の状況や治療の有無も確認する。
  • 測定条件が気になる場合は、スタッフに伝えて安静や再測定について相談する。

特定健診では、原則2回測定し、その平均値を用いると厚生労働省の通知で定められています。ただし、実施状況に応じて1回測定も認められています。結果票が1回の値か平均値か、分からなければ健診施設に確認できます。[5]

健診と家庭の値が違うとき

診察室では高く、家庭では高くない「白衣高血圧」と、診察室では高くなく、家庭では高い「仮面高血圧」があります。白衣高血圧でも継続的な確認が必要です。健診の値だけ、家庭の値だけで自己判断せず、両方の記録を医師に見せましょう。[4]

5.家庭血圧を記録するときの基本

日本高血圧学会の一般向け資料では、家庭血圧の測定を次のように勧めています。担当医から個別の指示がある場合は、その指示に従ってください。[4]

  1. 上腕で測る血圧計を使う。機器の説明書に沿って装着する。
  2. 朝は起床後1時間以内、朝食前・服薬前に測る。トイレを済ませ、椅子に座って1〜2分安静にしてから測定する。
  3. 夜は就寝前に測る。毎日の測定条件をできるだけそろえる。
  4. 1回の測定機会に原則2回測り、平均を取る。低い値だけを選ばず、測った値を記録する。
  5. 週5日以上の記録を医師に見せる。日付・時間・上と下の値、気になる体調や測定状況を残す。

「服薬前に測る」は、測定のために薬を抜いたり服用時間を自己判断で変えたりする意味ではありません。血圧の薬は、担当医の指示どおりに服用してください。[1]

家庭血圧の高血圧の基準は診察室より低いため、家庭の値を健診と同じ140/90mmHgだけで評価しないようにしましょう。[3]

6.結果を受け取った後に確認すること

  • 結果票の判定と受診指示を確認する。受診・再検査の案内があれば、その案内に従う。
  • 上と下、両方の値を確認する。片方だけ高い結果も見落とさない。
  • 前回の結果や家庭血圧の記録をそろえる。自己判断で受診を延期する理由にはしない。
  • 治療中の病気・薬を伝える。糖尿病や腎臓病、心血管病などの有無でも対応が変わる。

厚生労働省の令和6年度版フィードバック文例集では、健診の収縮期血圧160mmHg以上、または拡張期血圧100mmHg以上の場合、至急かかりつけの医療機関を受診するよう案内しています。それより低い値でも、ほかの病気やリスクによって早い受診が必要になる場合があります。無症状でも高血圧は放置せず、結果票と記録を持って相談しましょう。[2][4]

強い症状や急な体調不良がある場合は、この記事の数値にかかわらず速やかに医療機関へ相談してください。

血圧の結果は「上と下の両方」「判定の目的」「測定条件」「繰り返しの記録」を合わせて読み、必要な受診につなげましょう。

出典・参考資料

公的機関・専門学会の資料および専門学会誌のガイドライン解説論文を根拠に、独自の文章でまとめています。図表の転載は行っていません。資料確認日:2026年10月5日。

  1. 国立循環器病研究センター 病院「高血圧」(最終更新:2023年8月4日)。血圧・収縮期・拡張期の定義、繰り返し測定の必要性、測定条件、服薬に関する注意を参照。
  2. 厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)別紙5・フィードバック文例集(PDF)」。特定健診の血圧の保健指導判定値・受診勧奨判定値、血圧高値時の受診案内を参照。本文中の健診判定値はこの資料の値であり、診断基準や治療目標とは区別しています。
  3. 日本高血圧学会が作成した「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」の概要解説論文。掲載誌:Hypertension Research「Key highlights of the Japanese Society of Hypertension Guidelines for the management of elevated blood pressure and hypertension 2025 (JSH2025)」(2025年、DOI: 10.1038/s41440-025-02331-8)。診察室・家庭血圧の診断基準、高値血圧の分類、家庭血圧の重視、治療目標との区別を参照。
  4. 日本高血圧学会「家庭で血圧を測定しましょう」・「家庭血圧測定パンフレット(PDF)」。上腕血圧計、朝・晩の測定、座位安静、2回の平均、週5日以上の記録、白衣高血圧・仮面高血圧を参照。
  5. 厚生労働省「令和6年度以降における特定健康診査及び特定保健指導の実施並びに健診実施機関等により作成された記録の取扱いについて(2023年7月31日改正、PDF)」第一・2・(3)「血圧の測定」。原則2回の測定値の平均を用いること、実施状況による1回測定の取扱いを参照。

この記事は健診結果の理解を助ける一般情報です。ケンシンAIの解析や記事は、医師による診断・治療・受診判断の代わりにはなりません。

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